ごきげんさまです。一般社団法人訪問看護支援協会 広報部長の坪田康佑です。今回は、先日私が経験した心温まる出来事を通して、訪問看護の意義について改めて深く考えさせられたお話をしたいと思います。
先日、10歳年下の妹が晴れて結婚式を挙げました。10年という長い歳月を共に歩み、コロナ禍においては日本とアメリカという遠距離恋愛を乗り越えてのゴールイン。その道のりを間近で見てきた私は、妹の幸せそうな笑顔はもちろんのこと、二人が共に乗り越えてきた数々の困難が走馬灯のように蘇り、感動のあまり涙が止まりませんでした。

しかし、その感動を分かち合いたいと強く願う家族が、実は別にいたのです。義弟のおばあ様とお母様は、お身体の調子がわるく式への参列が叶いませんでした。もちろん、別日に親族でお祝いの場を設けていましたが、やはり人生の大きな節目となるこの瞬間を、共に過ごしたかったという思いは、私だけでなく参加できなかった家族の胸に深く刻まれたことだと思います。
実は、訪問看護業界においては、10年以上前から、当協会が中心となって、結婚式への訪問看護同行サービスなど保険外訪問看護サービスに関するガイドラインを作成するなど、高齢者の方々が安心して式に参加できる環境づくりに取り組んできました。当協会は、この分野において実績を積み重ね、省庁とのコミュニケーションを通じて、サービスの普及に努めてまいりました。
私たち訪問看護師は、高齢者の方々にとって、お子様や、お孫様の結婚式がいかに大きな意味を持つかをよく知っています。それは単なるお祝いの場ではなく、リハビリテーションへの強いモチベーションとなり、時には奇跡的な延命をもたらすほどの、生きる活力となるからです。
一般社団法人訪問看護支援協会は、介護保険ではカバーしきれない、自費での保険外訪問看護サービスのガイドラインを、いち早く行政と共に作成し、その普及に尽力してまいりました。今回の経験を通して、この活動がどれほど意義深く、必要とされているかを改めて実感するとともに、この取り組みをさらに広げていきたいという思いを強くしました。
大好きな妹夫婦の幸せそうな笑顔を胸に刻みながら、同時に、式に出席できなかった義弟のご家族の心中を思うと、静かに胸が締め付けられるような寂しさを感じました。この、訪問看護が提供できる価値を改めて認識し、一人でも多くの方に笑顔を届けられるよう、訪問看護の可能性を追求し続けていきたいと、改めて心に誓いました。
広報部長 坪田康佑
一般社団法人日本男性看護師会 代表理事