訪問看護コラム

潜在看護師の復職ついて

起業による潜在看護師の復職

今後は個人向けサービス分野の充実が鍵に

中小企業庁の調査によると、家計の消費支出に占める個人向けサービス分野の割合は上昇傾向にあり、女性の起業分野を見ると飲食や宿泊業、教育、学習支援業、生活関連サービスといった個人向けサービス分野での起業割合が40%と高くなっています。これらの分野は今後これからますます社会が成熟していく中で成長が期待される分野であり、個人向けサービス分野に強い女性起業家を多く輩出することが国の成長にも繋がってくると言えます。

男女別に起業家の年齢層を見ると男性起業家は30歳代と60歳代において人数が多くなっており年代による差があることが分かります。一方で女性起業家は30歳代の人数が多いものの他はどの年代でもほぼ同数で横ばいとなっており、男性と比べると起業家の数は少ないものの年代による差が少ない分、どの年代でもチャレンジしやすい傾向にあると言えます。

しかし、現状では女性起業家の個人所得は7割が100万円未満となっており、企業規模を従業者数で見ても女性起業家の9割が従業員を雇用せずに起業しています。このことから男性と比べて女性は比較的小規模な起業が多く、積極的に事業規模の拡大を図るのが難しい現状となっています。

女性起業における課題

女性起業の課題

出典:中小企業庁『女性起業の現状と課題

それでは何故女性の起業が少ないのでしょうか。それは起業前の就業経験年数が関係しています。

中小企業庁の調査によると、起業時の課題として女性は男性と比べて「経営に関する知識・ノウハウ不足」や「事業に必要な専門知識・ノウハウ不足」と回答する割合が高いことが分かっています。女性は男性と比べると起業前の就業経験年数が短い傾向にあり経営や事業に関する知識や経験を得る機会が少なく、それらに関する知識・ノウハウを与えてくれる機会に乏しいことが、相対的に起業を実現しにくい環境に置かれていることが要因と考えられています。

また、「家事・育児・介護との両立」という課題については、割合は低いものの男性と比べると約4倍もの開きがあり女性が起業する際に解決しなければならない課題の一つといえます。

当協会の支援について

このように女性起業を取り巻く現状には解決すべき課題がたくさんあります。国の持続的な発展のためには個人サービス分野の成長が必要不可欠となり、そのためには個人サービス分野に強い女性の活躍、とりわけ起業を増やすということが課題になってきます。それでは国の経済発展に寄与するため、当協会として女性の起業をどのように支援していくのか。それは独立・起業して訪問看護ステーションを運営する女性看護師を一人でも多く育成し、様々な面からサポートすることです。

女性起業の分野

出典:中小企業庁『女性起業の現状と課題

中小企業庁の調査によると、女性は個人向けの身近なサービス等で起業が多く、医療・福祉の分野での起業の割合が男性よりも高くなっているという特徴があります。また、厚生労働省によると2012年(平成24年)末に就業している看護師の数は約102万人でこのうち女性が占める割合は約94%と圧倒的に女性の比率が高くなっています。つまり、女性看護師が独立・起業して訪問看護ステーションを開業するというのはその利点を多く活かすことが出来ると言えるでしょう。

中小企業庁の調査で女性が起業時に欲しかった支援として「経営者などの同じような立場の人との交流の場」や「経営に関するセミナーや講演」と回答する割合が男性と比べて高かったことが分かっています。就業経験が少なく、ビジネスにおける知識や経験が不足している女性起業家にとっては特に親身に相談に乗り、助言を与えてくれるメンターの存在や目指すべきロールモデルとなる人物の存在がとりわけ重要となります。このため、これらの人々との交流や意見交換ができる場は、女性が起業の課題を克服する上で、重要な役割を果たすと言えます。

そこで当協会としても訪問看護ステーションの経営者同士の交流の場はもちろん、業種の垣根を越えた異業種間の経営者との交流の場や訪問看護ステーションを開業するにあたっての資金調達の仕方や経営のノウハウに関するセミナーなどを積極的に開催し、これから独立・起業される看護師の方を支援していきます。

支援実績

最後に実際に当協会が独立・起業を支援した例といたしまして熊本で活躍されている『訪問美容ステーションSpark☀Beauty』をご紹介します。『訪問美容ステーションSpark☀Beauty』は訪問看護という既存のビジネスに美容・エステといった女性ならではの強みを加え、新しいビジネスモデルを創造されております。

こちらでは訪問看護の保険外サービスを地元の病院と提携しながら提供しており、その他にも「看護と美容を融合し、自分が輝き、出会う方を輝かせ、エイジングケアライフをサポートする」という理念の元、現役看護師の方がスタッフとなり顧客の希望の場所へ訪問しエステサービスを提供するという看護師の資格を活かした訪問美容をされています。

【外部リンク】訪問美容ステーションSpark☀Beauty(株式会社プラバナース)

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