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学校における医療的ケア体制に物申す

報道されました千葉県立高校における医療的ケアを必要とする女子生徒への対応について、広報部長の坪田康佑として、一言申し上げたいと思います。

報道によると、千葉県立高校に入学予定の女子生徒が、学校での医療的ケアのために国の認める訪問看護師の利用を求めたところ、県教育委員会は県が直接雇用する非常勤職員しか認めないとしてこれを拒否しました 。生徒側は訪問看護ステーションとの連携を希望していましたが、県教育委員会は独自のガイドラインを理由に認めなかったとのことです 。  

この対応には、強い疑問を感じざるを得ません。生徒の意向を十分に尊重しているとは言い難く、必要な医療的ケアが適切に提供されない場合、生徒の学校生活におけるQOL(Quality of Life:生活の質)の著しい低下を招き、最悪の場合、生命に関わる事態も想定されます。

私自身、訪問看護の現場に長く携わってきた経験から、訪問看護は、医療ニーズの高い方が住み慣れた地域で安心して生活を送る上で不可欠なサービスであると強く確信しております。そして、学校における医療的ケアにおいても、訪問看護ステーションとの連携が最も望ましい形であると考えます。

訪問看護ステーションは、専門的な知識と経験を有する看護師、ナース等の看護職を配置しており、個々の利用者の状態に応じた適切なケアを提供することが可能です 。また、関係機関との連携体制も整っており、緊急時にも迅速かつ適切な対応が期待できます。  

一方、行政が直接雇用する看護師のみでの対応は、人員確保や専門性の維持、緊急時の対応などに課題がある場合も少なくありません。

今回の事例のように、行政が直接雇用する形式のみを認め、訪問看護ステーションとの連携を積極的に進めない場合、同様の不幸な事例が増えることを私は強く危惧しています。

関係機関におかれましては、今一度、学校における医療的ケアのあり方について、真摯にご検討いただきたいと切に願います。そして、訪問看護ステーションとの連携を積極的に進め、全ての子供たちが安心して学校生活を送れるよう、尽力していただきたい。

私自身も、一般社団法人訪問看護支援協会の広報部長として、微力ながら、この問題提起を続け、より良い社会の実現に貢献してまいります。

#参考:報道内容要約

  • 千葉県立高校に入学予定の女子生徒が、学校での医療的ケアのために国の認める訪問看護師の利用を求めたが、県教育委員会は県が直接雇用する非常勤職員しか認めなかった 。  
  • 生徒は急性弛緩性脊髄炎の後遺症で人工呼吸器を使用しており、看護師によるケアが不可欠 。  
  • 県教育委員会は独自のガイドラインを理由に訪問看護ステーションとの連携を認めなかった 。  
  • 訪問看護ステーションの協力により一時的にケアを受けられる見込みだが、継続の見通しは立っていない 。  

広報部長 坪田康佑

一般社団法人日本男性看護師会 代表理事

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