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寄付金とは
寄附金とは、自分の事業に直接関係がない個人や法人に対し、見返りを求めずに行う金銭の供与、資産の贈与などをいいます。寄附金という名称が一般的に使われますが、「拠出金」など別の名前で行われる場合もあります。
すなわち、寄附金は、①自社の事業と直接関係なく支出されるものであること、②見返りを求めずに支出されるものであることが求められるのです。
税法では、寄附金となる範囲について、次のように定められています。
①低廉譲渡を行った場合、その時価との差額のうち、実質的に贈与したと認められる金額は寄附金となる
②広告宣伝費、交際費、福利厚生費など、何らかの見返りのある支出は、寄附金とならない
③寄附金、拠出金、見舞金などいかなる名目でも、実質的に金品を贈与したり、無償で経済的利益を与えたりするものであれば寄附金となる
以上のように、名称や名目がどうであれ、実質的に無償供与や贈与である場合は、寄附金とみなされるということです。
寄附金の主な例をあげると、以下の通りです。
- 災害復旧義援金
- 日本赤十字社への寄附
- 赤い羽根共同募金
- 神社・寺院への寄附
- 講演会への寄附
- 町会・自治会への寄附 など
寄附金の種類
①国・地方公共団体に対する寄附金
国、または都道府県・市町村などの地方公共団体に対して寄附を行うものです。国・地方公共団体に対する寄附金には、以下のものがあります。
- 公立学校や公立図書館などへの寄附
- 災害発生時に、国や地方公共団体に寄附する義援金、または日本赤十字社や報道機関、赤い羽根などが受け付ける義援金
②指定寄付金
指定寄付金は、公益目的で事業を行う法人・団体に対する寄付金のうち、以下の要件を満たすものについて、財務大臣が認定する寄附金です。例えば、「国公立大学への寄附」「赤い羽根共同募金」などが指定寄附金です。
- 広く一般に募集されること
- 教育や科学の振興・躍進、社会福祉への貢献、文化の向上など公益を増進させるための支出で、かつ緊急を要するものに活用されることが確実であること
③特定公益増進法人への寄附金
公共法人、公益法人などのうち、教育・科学の振興、文化向上、社会福祉への貢献など、公益の増進に著しく貢献すると認定された法人への寄付金で、その法人の主たる目的である業務に関連するものをいいます。独立行政法人、日本赤十字社、公益社団・財団法人等の事業費・経常経費に充てられる寄付金などがこれに該当します。
特定公益増進法人への寄附金には、以下のものがあります。
- 日本赤十字社、公益社団・財団法人などの事業費・経常経費に対する寄付金
④認定特定非営利活動法人等に対する寄附金
認定特定非営利活動法人等に対する寄附金で、特定非営利活動にかかる事業に関連する事業費・経常経費に対する寄附金をいいます。認定特定非営利活動法人等に対する寄附金には、以下のものがあります。
- 認定NPO法人、または特例認定NPO法人に対する寄附金
⑤一般の寄附金
上で説明した①~④以外の寄附金をいいます。一般の寄附金には、以下のものがあります。
- 一般の法人や団体への寄附金
- 神社、寺院、宗教法人への寄附金
- 自治会、町会などへの寄附金
寄附金の種類による税制上の取扱い
それでは、寄附金の種類により、税制上の取扱いはどのように違ってくるのでしょうか。
ここでは、寄附金の種類による税制上の取扱いの違いについて見ていきましょう。
元々、寄附は、見返りを求めない金銭の無償提供という性格が強いことから、法人の事業活動において、「寄附金は、損金として計上すべきでない」との考え方があります。しかし、近年における法人の事業活動は、特に社会との繋がりが重視され、企業の社会的責任や社会貢献、地域貢献などが強く求められてきています。
そのため、社会貢献や地域貢献などの手段である寄附金についても、一定の範囲内で損金に含めることが許容されています。ただし、寄附金の損金算入を無制限に認めてしまうと、税金対策として乱用される虞もあることから、法人税法では、一定の制限を設けています。
これまでに、寄附金には以下の種類があることをみてきました。
- ①国・地方公共団体に対する寄附金
- ②指定寄付金
- ③特定公益増進法人への寄附金
- ④認定特定非営利活動法人等に対する寄附金
- ⑤一般の寄附金
上記のうち、①国・地方公共団体に対する寄附金、および②指定寄付金については、その寄附金額の全額を経費として扱う、すなわち、損金に算入して所得から控除することができます。
一方、③特定公益増進法人への寄附金、④認定特定非営利活動法人等に対する寄附金、⑤一般の寄附金については、その寄附金額のうちの一定の割合についてだけ経費として計上することが認められています。そのため、寄附金額のうち、損金に算入できる限度額が決められているのです。
なお、この損金に算入できる限度額は、2段階となっており、③特定公益増進法人への寄附金、④認定特定非営利活動法人等に対する寄附金は、「特別損金算入限度額」として損金算入割合が高く、⑤一般の寄附金は「一般損金算入限度額」として損金算入割合が低くなっています。
【損金算入限度額】
〇特別損金算入限度額=
{(資本金等の額×当期の月数 / 12×0.375%)+(所得の金額×6.25%)}×1 / 2
③特定公益増進法人への寄附金、④認定特定非営利活動法人等に対する寄附金が対象
〇一般損金算入限度額=
{(資本金等の額×当期の月数 / 12×0.25%)+(所得の金額×2.5%)}×1 / 4
⑤一般の寄附金が対象
また、支出した寄附金額が、上記計算式で算出した限度額に満たない場合は、支出した寄附金額が損金に算入する額となります。
なお、後で説明しますが、一般社団法人に対する寄附金は、⑤の一般の寄附金として、一般損金算入限度額が適用されます。
一般社団法人に寄附するメリット
それでは、一般社団法人に寄附するとどのような良いことがあるのでしょうか。ここでは、一般社団法人に寄附するメリットについてみていきましょう。
社会的な貢献ができる
一般社団法人に寄附を行うと、社会的な貢献ができるメリットがあります。社会的な貢献ができることは、一般社団法人に対する寄附のみでなく、広く一般的に行われている寄附についてもいえることですが、一般社団法人への寄附に着眼してもそのメリットは大きいといえます。
社会で活動している個人や法人は、その事業から得た利益を社会に還元し、住民の生活や福祉の向上に貢献する役割を担っています。その役割を果たすことができる直接の手段が寄附なのです。
例えば、台風や地震などの災害が発生した場合に、地域住民の安否確認や安全確保に尽力する町会や自治会などの一般社団法人に寄附を行うことで、町会や自治会の活動を資金面からバックアップし、地域社会に貢献することができます。
また、一般社団法人である食品の業界団体が、産地表示の適正化に取り組んでいる場合に、その業界団体に寄付を行うことで、産地表示適正化の推進に貢献することができ、ひいては広く一般消費者の希望に沿う商品が増えることに繋がります。
このように、一般社団法人に対する寄附は、住民の安全確保や健康維持をはじめとする社会貢献や住民福祉の向上に資するメリットがあります。
法人の活動を支援することができる
一般社団法人に寄附を行うと、その法人の活動を支援することができるメリットがあります。一般社団法人が事業目的を達成するためには、事業内容に応じた資金を必要とします。そのため、一般社団法人は、会員からの会費や事業による収入を原資として活動を行います。
しかし、法人の事業目的を達成するために、会員からの会費や事業収入のみでは十分でないと判断される場合は、その補完措置として寄附金を募り、その寄附金収入を法人の事業目的達成のための資金として利用します。
すなわち、一般社団法人の活動目的や事業内容に賛同し寄附を行うことは、その法人の活動を支援することができるメリットがあるのです。
例えば、海洋生物の調査・研究を事業目的とする一般社団法人の学術団体があるとします。この法人は、研究事業のための海洋調査船を所有していますが、老朽化してきたため船体の修理および動力部品の交換を行う必要が生じました。
この法人は、海洋生物の研究から得られた各種のデータを食品メーカーや製薬会社に提供して得た対価、および会員からの会費が主な収入となっています。しかし、この事業収入と会費収入だけでは、調査船の補修費用が賄えないため、広く一般から寄附を募集することにしました。
法人が寄附の募集について精力的にPRしたところ、調査船の修理および動力部品の交換費用を賄うことができる金額が集まりました。
このように、一般社団法人の設立趣旨や活動目的に賛同し寄附を行うことは、その法人の活動を支援することになります。この例で、一般社団法人に寄附した人は、その法人の海洋生物調査・研究、およびその研究から得られる各種データを産業界に提供するという活動について、金銭面からのバックアップを行うことができたのです。
自社の事業に利用できる
一般社団法人に寄附することは、自社の事業に利用できるメリットがあります。一般社団法人に寄附を行う目的は、その法人の設立趣旨や活動内容に賛同し支援を行う場合だけではありません。一般社団法人の活動内容が自社の事業と直接関係がなくても、その活動結果から得られるものが自社の事業にメリットを与えてくれるため、一般社団法人をバックアップするケースもあります。
上の例で、海洋生物の研究を行う学術団体は、調査で得られたデータを食品メーカーや製薬会社に提供するだけでなく、定期的に調査結果の概要を公表します。その場合に、学術団体から直接データの提供を受ける食品メーカーや製薬会社以外の企業の中で、公表された調査結果を自社の事業に役立てることが可能な企業もあります。
その企業は、学術団体の活動を支援することにより、将来的に、様々なテーマの調査結果について、定期的に閲覧することができるメリットがあります。この場合は、学術団体への寄附が自社事業に利用できるケースといえます。
自社をPRすることができる
一般社団法人の活動内容が自社の事業に関連がない場合でも、寄附を行うことで、自社のPRになるメリットがあります。
一般社団法人によっては、寄附を行ってくれた相手の名称を、相手方の同意を得た上で公表する場合があります。一般社団法人のホームページなどで寄附を行った旨が掲載されることは、寄附を行った企業の名称を広くPRする機会となり、それが会社の信用や業績に繋がっていきます。
寄附金を損金に算入できる
寄附を行うと、税制上寄附金を損金に算入できるメリットがあります。法人が一般社団法人に寄附を行うと、寄附した金額を損金に計上して節税することができます。
すでに説明しましたが、寄附金を損金に算入できる限度額は、段階が分かれています。「国・地方公共団体に対する寄附金」、および「指定寄付金」は、その寄附金額の全額を損金に算入して所得から控除することができます。
次に、「特定公益増進法人への寄附金」、および「認定特定非営利活動法人等に対する寄附金」は、「特別損金算入限度額」として損金算入割合が高くなっています。
一方、「一般の寄附金」は、「一般損金算入限度額」として損金算入割合が低くなっています。
このように、寄附金の損金算入限度額は段階が分かれていますが、一般社団法人に対する寄附金は、一般の寄附金として「一般損金算入限度額」が適用されます。一般社団法人に対する寄附金の損金算入限度額は、以下の計算式で求めます。
〇寄附金の損金算入限度額=
{(資本金等の額×当期の月数 / 12×0.25%)+(所得の金額×2.5%)}×1 / 4
上の計算式で算出した額を限度として、その年の損金に算入して税額を算出することが認められているのです。
寄附のメリットをめぐる検討
寄附金とは、自分の事業に直接関係がない個人や法人に対し、見返りを求めずに行う金銭の供与、資産の贈与などをいいます。寄附金が、自分の事業に直接関係がない相手に対して、見返りを求めずに行う金銭の供与、資産の贈与であるならば、あらかじめ自分にメリットがあることを見込んで行う金銭供与や資産贈与は、寄附金としての趣旨に適合しているのかという問題が出てきます。
これについては、すでに説明した寄附のメリットについて順番に見返し、検討してみましょう。
①社会的な貢献ができる
寄附により「社会的な貢献ができる」メリットは、寄附金の趣旨と矛盾しません。台風や地震などの災害時に、地域住民の安否確認や安全確保に向けた活動を行う町会や自治会などに寄附を行うことは、見返りを求めて行う行為ではなく、社会貢献という目的で行うものであるため問題はありません。
②法人の活動を支援することができる
2つ目のメリットである「法人の活動を支援することができる」も、一般的には問題がありません。寄附先の一般社団法人が、自社の事業と直接関係がある場合を除いては、一般的に、寄付先の法人の事業目的や活動内容に賛同して金銭面から支援するものであるため、寄附金の趣旨と適合しています。
③自社の事業に利用できる
次の「自社の事業に利用できる」メリットについては、検討が必要です。自社の事業が寄附先と直接の関係があり、寄付を行うことにより自社の事業に見返りが生じるような場合は、慎重に考慮する必要があります。
寄附金は、①自社の事業と直接関係なく支出されるものであること、②見返りを求めずに支出されるものであることが求められ、税法においても、広告宣伝費、交際費、福利厚生費など、何らかの見返りのある支出は、寄附金とならないとされています。
上で示した例で、海洋生物の調査・研究を行う学術団体から直接データの提供を受ける食品メーカーや製薬会社は、その事業が学術団体の活動と直接関係があるとみなされ、これらの企業が当該学術団体に寄付を行う場合は、その金銭的な支援が寄附金と認められない可能性があります。この場合に食品メーカーや製薬会社が行う寄附は、学術団体から提供を受けるデータに対する対価の一部とみなされる虞があるからです。
一方で、これも上の例で示しましたが、自社の事業が学術団体の活動と直接関係がなくても、公表された学術団体の調査結果が自社の事業に役立つことから金銭の支援を行うという場合は、この金銭支援を寄附金として取り扱っても問題ないでしょう。
④自社をPRすることができる
寄附により、「自社をPRすることができる」メリットは、自社のPRという「見返り」を求めて金銭の提供を行ったという見方もできますが、そういう見方を押し進めてしまうと、すべての寄附が見返りを求めて行うものとなってしまいます。
寄附を募る法人・団体の多くは、寄付してくれた個人名や企業名をホームページなどに掲載し、謝意を表しています。この場合は、寄附を行ったすべての個人や法人がホームページに掲載されることになります。
また、ホームページやSNS、企業広告などで、寄附者の情報を掲載し謝意を表すかどうかは、寄付先の企業・団体の自由意思に委ねられており、必ず寄附者をPRしてくれる保証はどこにもありません。
このことからも、ホームページやSNS、企業広告などに寄附者の情報を掲載するケースすべてが、自社の広告宣伝という見返りを求めて行われた寄附であるとする見方は、一方的で客観性を欠いているといわざるを得ないでしょう。
したがって、このような場合=ホームページに寄附者の情報を掲載してPRしてくれるケースでは、寄附者の事業が寄附先と直接関係がない限り、見返りを求めずに行う寄附金とみなして問題はないでしょう。
すなわち、見返りを求めずに寄附を行った結果として、偶然にも、寄付先がホームページ上で謝意を表してくれたことになるのです。
⑤寄附金を損金に算入できる
次に、税制上「寄附金を損金に算入できる」メリットですが、損金に算入して節税できる部分は、具体的な金額として寄附者に跳ね返ってくるものであるため、「見返り」を求めたものとみえなくもありません。
しかし、一般社団法人に対する寄附で、損金に算入できるのは寄附金の一部分であり、また、損金として計上することで課税対象額(所得)を圧縮できるに過ぎません。税金は、課税対象額に税率を乗じて算出されるものであるため、この場合に節税できる金額は、寄附金額よりもはるかに小さくなります。
このことから、寄附金の一部を損金に算入して節税するという「見返り」だけのために寄附を行うことは、収支的にみると採算が合わず本末転倒といえます。したがって、税制上寄附金の一部を損金に算入できるメリットは、見返りではないと判断できます。
以上、寄附金のメリットについて順番に見返していくと、ほとんどのメリットは、寄附金の要件に抵触しないことがわかります。
ただし、寄付を行うことで、③自社の事業に利用できるケースについては、寄附金の基本に立ち戻り、①自社の事業と直接関係なく支出されるものであること、②見返りを求めずに支出されるものであることの要件が満たされた金銭の提供、または資産の贈与であるかについて、事前に慎重なチェックが必要です。