一般社団法人訪問看護支援協会(東京都港区、代表理事:高丸慶)は、保険外訪問看護サービスの質的向上と利用者保護を目的とし、「訪問看護における保険外サービスガイドライン(第一版)」を策定いたしました。本ガイドラインは、2025年7月24日に正式公開され、保険外訪問看護サービス業界における初の自主規制ガイドラインとして位置づけられます。
ガイドライン策定の社会的背景
近年、高齢化社会の進展と医療ニーズの多様化により、医療保険・介護保険制度では対応しきれない分野における保険外サービスの需要が急速に拡大しています。訪問看護分野においても、利用回数や時間の制約を受けない柔軟なサービス提供が求められる中、保険外訪問看護サービスの市場は着実に成長を続けています。
しかしながら、この成長過程において、サービス品質のバラツキ、法令遵守の不徹底、利用者保護体制の不備等の課題が顕在化し、業界全体の信頼性確保が急務となっていました。医師の指示書を伴わない違法な訪問看護サービスの提供事例や、事業者の財務基盤の脆弱性に起因する利用者の権利侵害事案等も報告されており、業界の健全な発展のための指針策定が強く求められていました。
制度的位置づけと法的根拠
本ガイドラインは、経済産業省が示す「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」に準拠し、介護関連サービスの業界自主ガイドラインとして策定されました。同指針は、ヘルスケアサービスの品質確保、事業者の信頼性向上、利用者や仲介者からの信頼確保を目的とした国の政策方針であり、本ガイドラインはこの政策的枠組みに沿った業界の自主的取り組みとして意義を持ちます。
ガイドラインの主要内容と効果
1. サービス提供基準の明確化
保険外訪問看護サービスを提供する訪問看護ステーションが遵守すべき基本的事項を規定し、サービス内容、料金体系、倫理規定等の透明性を確保します。これにより、利用者が安心して質の高い在宅看護サービスを選択できる環境を整備します。
2. 法令遵守体制の強化
医師の訪問看護指示書の適切な運用、医療関連法規の遵守、訪問看護師の資格要件等について明確な基準を設定します。特に、医療保険・介護保険制度との適切な区分と併用可能性について詳細に規定し、制度の適正な運用を推進します。
3. 利用者保護体制の確立
事業者の財務基盤、保険加入状況、苦情処理体制等について最低基準を設定し、利用者の権利保護を図ります。また、サービス提供に関する契約書面の適正化や、利用者への十分な説明責任についても規定します。
4. 品質向上と標準化の推進
訪問看護師の継続的な資質向上、サービス提供記録の適切な管理、利用者満足度の定期的な評価等を通じて、業界全体のサービス品質向上を図ります。
当協会の役割と今後の取り組み
一般社団法人訪問看護支援協会は、本ガイドラインの普及・定着を通じて、以下の事業を推進してまいります:
政策提言支援: 保険外サービス導入ガイドライン・事業継承ガイドラインに基づく政策提言活動を通じて、制度整備への貢献を図ります。
経営改善支援: ガイドラインに準拠した事業運営の実現に向け、経営改善計画の立案、人材採用戦略の構築、補助金・助成金活用等の包括的なコンサルティングサービスを提供します。
専門人材育成: ACP認定研修、BOC認定研修、訪問看護DX研修、訪問看護事務士講座等を通じて、ガイドラインの理念を理解し実践できる専門人材の育成に取り組みます。
継続的改善への取り組み
本ガイドラインは第一版として策定されましたが、今後、社会情勢の変化、法制度の改正、業界ニーズの変化等に応じて定期的な見直しを実施し、より実効性の高い内容へと発展させてまいります。また、利用者、事業者、関係機関からのフィードバックを積極的に収集し、ガイドラインの継続的な改善に努めます。
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